発明のブラッシュアップ&プラスα

こんな経験ありませんか?

ある発明をし、特許出願しました! 拒絶理由がきたので、特許を受けようとする発明をシフトしようと思ったら、それが明細書に書いてなかった…とか、

ある発明で特許をとったけど、ちょっとした変更で、容易に特許を回避されてしまった…とか。

実はこのような事例!
プロの世界においても、非常によくあること…なんです。

なぜか?
理由は明白です。着想(アイデア)は抽象的ですが、それを発明として特許をとるには、その着想を具体化する…

すなわち、
技術的思想の創作としての発明にしなければならないからです。

具体例です。
あるひとが、真夏の野外の仕事で、暑さをしのぐために、作業服にファンを付けた空調ウェアの着想(アイデア)を思い付いたとします。このひとは、当然、作業服にファンを付けた空調ウェアの発明…として権利化したいですよね!

でも、それってたぶん無理なんです。

なぜなら、特許を受けようとする発明は、技術的思想…すなわち、ある程度の具体性がなければならないからです。もし、作業服にファンを付けた空調ウェアとして特許出願した場合、実務上、発明が不明瞭である、又は容易である(進歩性なし)、として拒絶されるでしょう!

そこで、プロとしては、このような拒絶を回避すべく、この着想をある程度、具体的な発明にして特許出願すること…を提案するんです。

ここに落とし穴があります!
つまり、この具体化に当たって、元々の着想を限定し過ぎてしまう…というリスクです。

先ほどの作業服にファンを付けた空調ウェアの場合、例えば、
➀ウエアの空気層
②肩部のファン
➂裾部の排気口
④バッテリー
を限定し、

空調ウェアの発明として特許取得したとします。

でも、この特許…どうでしょう?
もし、裾部にファンがあるもの…とか、バッテリー別売…とか、といった類似品が出回った場合、この特許でカバーできるでしょうか?

元々の着想なら、作業服にファンを付けた空調ウェア…なので、全て権利範囲になったはずなんですが…
発明にする(具体化する)段階で、限定し過ぎてしまったんです!

注意:以上の例は説明を分かり易くするための仮想の例です。

以上の例からも分かるように、着想を発明にする、すなわち…具体化する、に当たって、元々の着想を限定し過ぎないように、発明をブラッシュアップすることが非常に重要となります。

発明ブラッシュアップとは、
元々の抽象的な着想を、特許を受けることができる発明に具体化すると同時に、その具体化に当たって、元々の着想に近付けるために、できるだけ多くの変型例、応用例、適用例など…を検討・追加すること、をいいます。

なお、変型例、応用例、適用例など…を、検討・追加することを、プラスαといいます。

ただ、これ! 意外と難しく、ある程度の経験と知識が必要になります。実際、元々の着想を思い付けたひとでも、良くて数個の例を考えるのが限度でしょう。

この場合、これら数個の例を含む上位概念の発明として権利化することになりますが…
元々の着想からはかけ離れていることが多いと思います。

やはり様々な変型例、応用例、適用例など…を検討・追加するには、ある程度の経験と知識をもったものの助けが必要であると考えます。

イメージは以下のような感じです。

   

特許の良し悪しは、最初の出願(一般的には日本出願)の内容で決まります。最初の出願後に内容を追加できる救済措置※もありますが、やはり、手間やコストなどを考えると、最初の出願をしっかり書いておくことに越したことはありません。

※最初の出願から1年以内に優先権を主張して内容を追加できる制度があります。

是非、発明のブラッシュアップ&プラスαを行い、あなたのアイデアを最大かつ適切に活かしてください!