ある発明のおはなし
個人の方が突然のひらめきで
身近なものについて
画期的な発明をしました!
この方は
この発明について特許を取得し
ロイヤルティで
収入を得ることができました!
でも
数年も経たないうちに
売上が激減し
収入も零になりました!
このおはなし
みなさんはどのように感じましたか?
当然だよね!
ひとって飽きるし…
その通りです
でも…その原因をもう少し
詰めて考えると
見えてくるものがあります
特許法って
技術の累積進歩(まねるの推奨※)
による産業の発達を
目的としています
※本筆者の造語
つまり
先の画期的な発明は
技術の累積進歩のために
特許又は法定期間後に
公開されているんです
当然…ライバルは
これをまねて(参考にして)
別の発明をし
特許をとって
製品化で利益を上げようとします
産業発達の観点からみれば
これでよいのですが…
最初に発明した方にとっては
ちょっと納得いかない
こともあるのでは…
でも法律を変えることは
できませんので
納得いかないと考える方は
そのような事態とならないために
発明したら戦略を立てる
ことが重要となるんです
でも
個人の方は
企業のように
事業内容が決まっていて
常日ごろ研究開発している
わけではないから
戦略を立てるといった
難しいことはできない!
と思うのは普通です
確かに…知財戦略は
事業を優位に進めるための
総合的戦略ですので
特許(発明)に関していえば
発明前から
他社の知財を調査し
研究・開発の方向性を定めたり
発明後は
どの国で権利化するか、とか
特許後は
ライセンス、係争、とか
はっきりいって
個人には無理です
しかし
この戦略にもキーがあり
最低それを押さえておけば
あとは
なんとかなるんです
このキーだけなら
個人でも十分にできます
さあ
あとあと後悔しないように
発明したら最低限…
以下の3つの戦略を実行してみて
ください!
➀ブラッシュアップ
あなたのした発明だけでなく
あらゆる可能性を考えて
いろんな事項…特に
変形・改良・応用(適用)など
といったものを記載しておく
という戦略です
➁CQC(クレーム品質管理)
あなたのした発明をクレーム(権利化)する
という視点ではなく
その上位概念(技術的特徴)を抽出し
できるだけ広いクレームを作成しておく
という戦略です
➂ポートフォリオ作成
➀で含められなかったもの
すなわち
今後…本発明に基づき
開発・研究が行われるであろう課題
をまとめて
次のあなたの発明目標とする
といった戦略です
これらがしっかりしていれば
その他の戦略は
あと付けでも楽に進められます
以下…具体的に説明していきます
【ブラッシュアップ】
具体的には
あなたの考えた発明について
現時点で考えられる変形・改良・応用(適用)など
を追加で創作する作業のことです
これをすることで
あなたの発明の可能性を広げ
知財戦略を有利に進める
ことができます
例えば
あなたが
「洗濯槽の内壁に吸着可能な
洗濯水中のごみをとる
ごみ取りネット」
の発明をしたとします
でも
これをそのまま特許にしたら
どうでしょう
第三者は
この特許を回避するため
容易に変形等した製品
を製造できると
思いませんか?
そこで
この発明をブラッシュアップします
仮に…この発明が
洗濯機自体は何ら変えずに
(既存品にそのまま)
使用できる点
に特徴を持つとすると
その特徴は保ちつつ
様々な変形等を考えます
例えば
洗濯槽の内壁に吸着させる
のではなく
洗濯水に浮かす
といったものも
思い付くのではないでしょうか?
そして
これらすべてを
明細書に記載しておく
これで
ブラッシュアップ完了です
【CQC】
具体的には
ブラッシュアップで
明細書に盛り込んだ発明のすべて
を含む形でクレームを作成する
作業のことです
例えば
上記の例のように
・洗濯槽の内壁に吸着させるもの
・洗濯水に浮かすもの
の2つの発明を
ブラッシュアップした場合
これらに共通の技術的特徴を
探します
例えば
ごみをとるネットの開口部が
洗濯水の水面部分に位置する点
が共通の特徴であると仮定すると
その特徴を
共通又は別々のクレームで
記載し
他は
ごみ取りネットに
必須の要件のみを記載し
余計なものは記載しない
例えば
・枠
・ネット
・開口部を水面部に位置させる部材
といったように…
これで
CQC完了です
【ポートフォリオ作成】
具体的には
本発明に基づき
他者が改良等してくるであろう事項
をまとめて
次のあなたの発明目標とする
といった戦略です
例えば
この部分は検討の余地があるが
未だ試行錯誤の段階である、とか
洗濯機自体の改良が必要なので
現時点では発明できない、とか
洗濯機以外にも使えそうだが
いまは思い付かない、など
といったもの
それらは
当然、本発明を知った他者も
狙ってくるだろうから
このようなリスクとなり得るもの
(今後の課題)
をポートフォリオとして
まとめておく
この作業は
できるだけ早く
例えば
出願時には行っておくことで
他者が上記のような改良等を行う前に
じぶんが一歩先に研究・開発し
あわよくば
先に出願、権利化してしまう
といったことも可能となります
この戦略にはひとつ
注意点があります
個人の場合
最初にした発明については
同時審査請求し
権利化を早める
のが一般的ですが
その内容は上記の通り
特許又は法定期間後に公開されます
これは
少なくとも公開後は
あなたの最初の発明が
公知技術となる
ということを意味します
つまり公開後に
ポートフォリオに基づき
別の発明をした場合
あなた自身の最初の発明
(公知技術)から容易として
特許が拒否される場合がある
ということです
もちろん
効果等の面から容易でない
と判断されることもありますが
できれば
公開前には改良等について
出願を行っておくことが
望ましいです
ただ
そんな短期間にいくつも
発明できないよ
といった事情もありますので
公開後は
容易と判断されないような工夫
例えば
先の発明(比較例)と
改良等に係る発明(本発明)
の効果を表した図面など
を作成しておく
といったこと
も重要となります
是非…
あなたのした発明について
満足いく形で
事業展開できるように
発明したら
戦略を立ててくださいね!
以上